子育てのポイントってなんでしょう?

1、はじめに

 磐城学園は発達に問題を持つ幼児(1〜6才)の通園施設として昭和39年に開設しました。以来、40年間、早期発見・早期治療の成果を目指して、いろいろな障害を持つ幼児の教育と訓練に取り組んできました。
 日本には昔より「三つ子の魂百までも」と言うことわざがあり、3才までの育児の大切さが語られ、幼児期の養育(身辺のしつけなど)に心をくだいてきました。
 このことわざは、子供の精神的発達をふまえて、子育ての大切さを教えている点で名言であります。しかし、今日では昔と比較できないほどに、子供の成長・発達が早まり、養育環境が変わりました。それにともなって障害も変遷しています。
 障害児教育の現場では、「三つ子」を「0才っ子」におきかえて、「0才っ子の魂百までも」と言える時代に到来したと思います。
 なぜなら、0才の時期に発達した知恵や情緒などの精神的発達が、その後の発達の土台となっていることが考えられるからです。
 0才の時の赤ちゃんの発達は著しく、日々成長しますので、その成長に目をうばわれているとあっという間に1才の誕生日を迎えます。ところが、この0才の時期に赤ちゃんは将来人間として成長・発達するための土台を作ります。
 自閉的傾向や言語発達遅滞などのいろいろな障害児を観察すると、0才の時期に発達しなければならない課題が未発達であることが見られます。
 したがって、彼らがもつ未発達の分野の課題を発達させるようにうながす教育や訓練をすると、教育効果が出て、発達が遅れている面のみでなく、他の面の発達もはかることができ、よりよい方向へと成長させることができます。子供の発達に不安をもった場合は、0才の時期の発達過程を振り返り、何が問題であるかを考えると、子供への取り組み方が自然にわかってきます。
 こうした体験に基づき、赤ちゃんの精神的発達について考察を深めた結果、0才の時期にどうしても発達しなければならない課題がうかびあがってきました。また、この課題をクリアーしなければ、その後の成長が順調にいかない場合があることが見られます。
 その課題とは「アイコンタクトをすること」・「愛着形成をすること」・「手遊び歌をすること」の3点です。
 発達に問題をもつ子供に対しては、障害ばかりを見つめないで、「0才っ子」の発達と照らし合わせて何が問題であるかを考えると、取り組み方が具体的にわかってきます。それでは、3つの課題についてシリーズでご紹介いたします。

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