【本の要旨 1】
 「自閉傾向は生まれて三ヵ月でわかる  ―こどもを救う呼吸援助抱っこー  」の要旨

 一般に自閉症と診断されるのは2〜3才です。この時期になると自閉症の障害の特徴がはっきりと出るからです。たとえば、次のような特徴が出ます。


・自分から人に関わりを求めない。
・視線を合わせない。
・ことばの遅れがあったり、オウム返しをしたり、コマーシャルを言う。
・パニックを起す。
・自分勝手な行動をする。
・こだわりの行動をして、道順や記号(文字や数)など特定な事柄に執着する。

このような行動によって自閉症と診断されます。
では2〜3才まで待たなければ障害がわからないのでしょうか?
実は、生まれて3〜4ヵ月頃に自閉傾向を発見することができます。
障害の発見の手がかりとなるのは、アイコンタクトと欲求を伝える泣きとはしゃぎ反応です。これらの行動が出るべき時期に出なかったり、出ても弱かったりしたら、障害の兆しです。三つの行動について述べます。

@アイコンタクト
 「目は人を受け入れる窓口」です。赤ちゃんは生まれると直ぐに抱き手の顔をみつめます。みつめることで人との関わりをスタートさせます。
 これが新生児期より始まるアイコンタクトです。
 ところが、アイコンタクトが出ない場合は、対人関係のスタートでつまずきます。
 その結果、人と関わって生活をすることができなかったり、人と視線を合わせることができなくなったりします。

A欲求を伝える泣き
 赤ちゃんは「オギャーオギャー」と泣くとオッパイを飲ませてもらったり、抱っこしてもらったりと人からお世話をされます。すると赤ちゃんはオッパイが飲みたくなったり、抱っこして欲しい時に「オギャーオギャー」泣くようになります。
 さて、オッパイが欲しいと泣いた時、オッパイを飲ませてもらえると、赤ちゃんは自分の欲求を伝えることができることを学びます。

 これが3ヵ月頃に出る欲求を伝える泣きです。
 欲求を伝える泣きは、将来コミュニケーションをとることやことばを話すことにつながる行動です。欲求を伝える泣きが出ないと、対人関係の育ちやことばの発達でつまずきがでます。


Bはしゃぎ反応
 イナイイナイバーとあやすと、赤ちゃんはニコニコ笑ってはしゃぎます。
 はしゃぎ反応は赤ちゃんが人との触れ合いや人と関わって生きていることの証となる行動です。34ヵ月頃にはしゃぎ反応がでれば、将来も人と触れ合ったり、人と関わって生きていくことができます。また、はしゃぎ反応が出れば愛着が育ち、しっかりとした親子関係が育ちます。そして親子関係を土台にして対人関係の輪を広げていきます。
 ところで、アイコンタクト、欲求を伝える泣き、はしゃぎ反応の三つの行動は、生まれて3〜4ヵ月までに出る行動です。
 これらの行動が34ヵ月頃までに出たかどうかを観察することによって、自閉傾向を早期に発見することができます。
 早期に発見して早期に療育にとりくめば、子供を自閉の世界から救いだすことができるのです。


トップページへ