【本の要旨 3】 |
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「手は知恵を育む ―乳幼児期の手の発達― 」の要旨 |
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1、手は外の頭
人の赤ちゃんは子宮外胎児といわれます。それは赤ちゃんの脳が未熟だからです。その未熟な脳は0才代のうちに急激な勢いで発達を図ります。
ところで、発達を図る上で不可欠なものは外界からの情報です。
赤ちゃんは五感で外界からの情報をキャッチします。そして見たり、聞いたり、触れたり、味わったり、臭いをかいだりした情報を脳に送りこみます。
五感からの情報は、未熟な脳が発達を図る糧となります。
たとえば、5ヵ月の赤ちゃんですが、赤ちゃんにガラガラをさし出すと、赤ちゃんはガラガラに手を伸ばしてつかみます。ガラガラをつかむと目の前にもっていってながめます(視覚のキャッチ)、更に口にもっていってなめたり、臭いをかぎます。(触覚と味覚と臭覚のキャッチ)、ガラガラをふって、音が出るとその音を聞きます。(聴覚のキャッチ)
このように赤ちゃんはガラガラを手にとって遊びますが、五感はガラガラについての情報をキャッチして、脳に送りこみます。
ところで五感がガラガラについての情報を、キャチすることを可能にしているのは何でしょうか?それは手です。即ち、ガラガラを持ってふり動かす手です。ガラガラを持つ手が、次の行動としてガラガラをなめたり、口に持っていったり,振ることを可能にしているからです。
こう考えると、五感が情報をキャッチして、その情報を脳に送りこむことを可能ならしめているのは手であるということです。
「手は外の頭」と称されていますが、手は五感がキャッチした情報を脳に送りこむことを援護しているのです。このように手と脳は密接につながっているのです。
「手は外の頭」であると共に、手は頭を育てる働きをするのです。
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2、0才代前半の手の動き
0ヵ月:赤ちゃんの手の平の中に指を入れると、反射的に握りしめる。(把握反射)
刺激が加わると手足を動かす。(不随意運動)
2ヵ月:手に触れた物(タオル・洋服・布団)を反射的に握る
3ヵ月:さし出されたガラガラに手を伸ばす。(随意運動の始まり)
ハンドリガードをする。
4ヵ月:さし出されたガラガラに手を伸ばしてさわる(随意運動)
5ヵ月:そばにあるガラガラをつかみ、口にもっていってなめる。
0才代前半の手の動きは、反射運動(不随意運動)から始まり、月齢が進むにつれて把握反射が消えて、随意運動に移行します。赤ちゃんが自分の意思で手を動かすことを確立する時期です。この時期の把握の仕方は、小指側に力が入るわしづかみです。
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3、0才代後半の手の働き
6ヵ月:立方体の積み木を手掌握りで握る(母指の台頭)
7ヵ月:母指の台頭により母指と他の指とを対向させて把握する。
母指と示指:タマゴポーロを母指と示指とでつまむ
母指と示指・中指:ピンポン玉を母指と示指・中指とでつまむ
母指と四指:ラッパを母指と四指とで握る
9ヵ月:示指のみが伸展する
(すきまやビンの口に示指をつっこむ)
10ヵ月:ピンセット握りをする
(ビスケットのかけらを伸展した示指と母指とでつまむ)
11ヵ月:鉗子握りをする
(米粒を屈曲した示指の指頭と母指の指頭でつまむ)
0才代後半は母指の台頭により、母指と他の指とを対向させて把握することを確立する時期です。力が入る部位は、小指側より示指側に移行します。また、手の平より指先へと移行します。対向動作の動きは指を器用にします。
このように赤ちゃんは一年の歳月をかけて器用に動く手を発達させます。この手は外の頭となって赤ちゃんの行動を援護します。
また、手は働きによってつなぐ手となったり、つなげる手となったり、つたえる手となったり、学ぶ手となったり、つくる手となります。
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4、さまざまな手の働き
・つたえる手:(6ヵ月)ママを見ると「抱っこしてー」と手をさし出します。
さし出す手がママ大好き、「抱っこして―」の気持ちを伝えます。
・学ぶ手 :(9ヵ月)バイバイと手をふります。
バイバイと手をふる動作を手が学びます。
・つなげる手:(10ヵ月)おつむてんてんのまねっこ芸をする手が赤ちゃんと見る人をつなげます。
・つなぐ手:(11ヵ月)歩き始めの時期に赤ちゃんは、大人と手をつないで足を運びます。
・伝える手:(11ヵ月):いろいろな物を指さします。指さしで意思を伝えます。
・つくる手(1才6ヵ月):積木を積んで塔をつくります。
この手の登場は1才後半からでさまざまな遊びの場面で活躍します。
(パズル遊びや粘土遊びや砂遊びなど)
このように0才代にさまざまな手の萌芽をみます。
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